ひと夏、命の輝き

いつの間にか、朝と夕方、ひぐらしが鳴くようになった。さらさらと重なりあうようなひぐらしの声は美しく、少し切ない。夕暮れの色によく合う音だ。

ひぐらしは昼間の暑さをどう思っているのだろうとふと頭に浮かんだけど、今年のひぐらしは今年の夏しか知らない。ずっと土のなかにいて、この夏のひとときだけ声を響かせて、その季節で生涯を終える。

光があふれて、空青く雲がわき、木々の緑が色濃い夏は、ひぐらしにとってこの夏だけなんだ。今を一生懸命生きるしかない。

生き物はみんなそうなんだって、思う。同じ命をもって、今のときを生きている仲間なんだ。皆、精一杯だ、生きているものは。

そのことを深く感じて、自分の生命を感じた。共鳴するように生きる気持ちが湧く。ああ、生きている実感は、すべてを輝かせる。

ありがとうございます。

コメントを残す